京都 四条高倉の占庭から

「ちくま」ファンです

小学生のときから図書委員だったので、

小さなころから「これから出る本」のPR紙を熟読していました。

読みたいものが見つかるワクワク感とともに、

 ああ、こんなにも多くの本が次々に世に出ている・・・・

という焦りも同時に感じていました。

どうして焦るのかというと、一生の内で読める量は限られているわけで、

 ああ、とても間に合わない。読みたいものを読み切れずに死んでしまうぅぅぅぅ

という焦燥感。

いまはもう、そういう意識にはフタをしています。

縁のあった本を読めたらいいやん、と思うことにして。

 

「これから出る本」を目を皿のようにして読むこともなくなりましたが、

一誌だけ定期購読しているPR誌があります。

筑摩書房が出している「ちくま」。

これがほんとおもしろいんです。

筑摩書房から出版される書籍の紹介だけでなく、

連載小説や、エッセイもあって、盛りだくさん。

ジャンルも幅広くて、自分では決して好んで読まないものも多く、

で、読んでみたらすごく興味を引かれることが多々あります。

これが毎月届いて、年間千円なんて、めっちゃおトク!

と、人に喋りまくっているワタクシ。

 

「ちくま」の連載エッセイで、穂村弘さんと岸本佐知子さんを知ったのですが、

このおふたりのエッセイの超絶おもしろさたるや、

このためだけでも「ちくま」と出会ってよかったと思えるくらいです。

そうそう、小路幸也さんも「ちくま」から読むようになりました。

東京バンドワゴンシリーズ、大好きです。

 

穂村さんは歌人で、岸本さんは翻訳者なのですが、

どちらもものすごく変人です。

でも、見るからにヘン、というのではなく、おそらくはひじょうにマジメで、

社会的にはそれほど困った個性が突出してる方ではないと思うんですね。

それでもなお、ヘン。

いやいや、実に楽しいです。

 

「本当はちがうんだ日記」穂村弘  

この人と一緒に暮らせる人なんているの? 
なんて思っていましたが、結婚されたんですよねぇ。

43歳か、44歳くらいで、でしょうか。
はずみがついたんですね。
41歳の時点で、
「結婚したことがなく、子供を持ったことがなく、家を買ったことがない。
 その理由はこわいからである。
 何故こわいのか、それらはいずれも”なかった”ことにするのが困難な項目だからだ。
 実際に試してみて、もしうまくいかなかったらどうしよう、と思うのだ。」 
と、書いてありましたから。

彼は意気地がなく、小心で、内気です。
影が薄いのだそうです。
もちろんモテません。
好きなの女性のタイプを訊かれて、
「山で熊に襲われたときに僕を守って戦ってくれるひと」
と答えたそうです。
・・・・オクサンはそんな女性なのかな。

このエッセイ、ほんまにおもしろいです。
でも、中盤からちょいとカラーがダークになりました。
ゲラゲラから、ふーーーむ・・・・入りの笑いに変わる感じ。 

難しい言葉や表現を使わず、非常に的確な表現をされます。

腑に落ちまくり、合点しまくりの、感心しまくりでした。 

(2007/9/7)

 

岸本佐知子さんの著書については、また次の機会に。

こちらも抜群におもしろいです。