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京都 四条高倉の占庭から

雇われない仕事を続けること

なんだか急に夏が本気を出してきた感じですね。

おもてを歩くと融けそうです。

みなさまも、暑さをうまくやり過ごしてくださいね。

 

さて、昨日のガケ書房さんのお話のつづきです。

ガケさんには入口付近に小さな貸しスペースがありました。

6年くらい前だったと思うんですが、その、もぐらスペース(通称もぐスペ)で、

占いをしたことがありました。

 

もぐスペは屋根はあるものの、屋外なので、幹線道路に面しているそこは、

結構な騒音とホコリの舞うスペースでもありました。

あまりノドが強くないわたしには、そこでお客さまと長時間喋っているのは、

予想以上に負担が大きく、結局、出店はその一日だけに終わりました。

けれど、そのたった一日の出店のご縁で、今も占庭へお越しくださるお客さまも

いてくださるのですから、ほんとうにありがたく感謝しています。

 

ところが、その日の占いのお客さまの中に、ひどく変わった男性のお客さまも

おられたんです。

話される内容が突拍子もなく、ヘンな人だなあと思いながら占って。

ヘンという言い方は甚だ失礼なんですが、少々挙動不審で、

極端な違和感があったんです。

ガケ書房の頃』を読んでいて、すぐにわかりました。

そうか、万引き犯の人やったんか、って。

たしかに、その日は店主の山下さんはお休みの日で、おられませんでした。

そうだったのか、といろいろ納得です。

 

占庭は占い稼業。

お客さまを占い、それをお話しするお店です。

あ、そうだ、タロット占いの教室もしてました。こちらのレッスンもあります。

が、そのカードを売ったり、魔除けグッズなどを売ったりはしていません。

ですので、何かを盗られるということはないわけで、万引き犯と渡り合う、

なんてことをしなくていいのはありがたいことで。

物販のお店は本屋さんに限らず、このしんどさがあるんだなあ、

と改めて考えさせられました。

 

けれどもですね、実は占庭でも見料をいただけなかったことがあったのです。

一度は電話占いで、お店まで出向けないけれど、どうしても今すぐ占って欲しい。

見料は振り込みますから、と強く要望された女性の方でした。

わたしの占い結果が不本意だったようで、かなり時間をかけて、

その結果を覆そうとされ、ものわかれのような切り方をされまして、それっきり。

ショックでしたが、わたしの話し方がまずかったのかなあと反省もしました。

で、もう一度はメール鑑定で、お名前は男性名でした。

依頼メールの文章も丁寧で、非常に感じのいい方だったんですよ。

けれど、見料は踏み倒されてしまいました。

何度も振込み依頼のメールもお送りしましたが、ナシのつぶて。

占ったその方の命式が、お人よしといってもいいくらいの星だったので、

こんな星の人がそんなことを?と、なんだか二重にショックでねぇ。

それ以降、メール鑑定や電話鑑定は、先にお振込みいただく方式に変更しました。

それは、とても不本意なことではあったんですが、致し方ありません。

こちらも商売ですし。

 

このね「こちらも商売」というところは、あまり出したくはないもんです。

特に占いなんて、いきなりその人の秘密に踏み込むような仕事なんですから。

それでも、そうせざるを得ないのも、まあ、しょうがないんですけれどね。

もちろん、わたしも趣味でお店をやっているわけではないのですが、

この仕事で生計を立てているわけではありません。

生活をみてくれる家族の支えがあって、やっと成り立っているお店です。

そんな甘々な商売とも言えない商売をやっていてさえ、

いつまで続けていけるだろうか、とか、

もうやめるべきなんじゃないだろうか、とか考える日もあります。

商売で家族を養い、従業員に給料を支払い、尚且つ、モチベーションを下げずに

続けていくというのは、どれだけしんどいことだろうかと思います。

「経営」ってほんと、不安で大変なことなんですよね。

 雇われて働いていたころには想像できなかった不安がそこにあります。

お店でも会社でも、自分でやるということは、ずーっと、その不安とともにある、

ということなんだと思います。

そうそう、有給休暇も退職金もないんですよねぇ。

それでも自分でやり続けるということは、よほどの意志がないと。

 

以前、古書店蟲文庫さんが著書の中で「意地で維持」と書いてらしたけど、

その気持ち、ウチのような吹けば飛ぶような小さな店でもよくわかります。

自分の店をなるべく自分のしたい方向で維持していくことの大変さ、葛藤、

手応えのあった時のうれしさ、自負自尊も『ガケ書房の頃』には詰まっていました。

 

占庭もいつまで続けられるかな、と思いつつ、グラグラしながら続けていますが、

粘りも根性もないわたしが「できるだけ長く」と思い続けているのもたしかで。

時々、そうだな。「意地で維持」でいかなくちゃ、

とふんどしを締め直しているのです。

ええ、もうしょっちゅう締め直しです。