京都 四条高倉の占庭から

『胎児のはなし』

昔の偉い人の写真を見ると、耳が大きくて、

「やっぱりエラくなる人って、福耳なんや」

と思っていたのですが、よく見ると、別に偉くない人でも、

昔の人って、耳が大きいんですね。

なんでやろう、って思ってたんですけど、自分が年を取るにつれ、

周りの人も年配者が増えてきてわかりました。

現代の年配者も耳が大きい、ってことが。

 

そうなんです。

年を取ったら、耳が大きくなるのではなく、下がってくるんですね。

もちろん、それは耳だけじゃなく、全体がハリを失って下がってくる。

あごの下の皮膚とかも下がってくる。

顔全体はしぼんでくるけれど、耳はしぼぶよりは垂れる。

要するに、皮膚が下がって伸びてるんやん、ってことではないか、

と思われます。

なんや~~~ と思った次第です。

 

さて、今日はすごーく久し振りにカテゴリ「読書」で。

いつもブログに書くのは、ずいぶんと昔に読んだ本ばかりなのですが、

今回は、読みたてほやほやのものを。

と言いますのも、ものすごくおもしろかったので、紹介せずにいられない!

ということで。

ええもう絶賛超オススメです。

 

『胎児のはなし』増﨑英明・最相葉月 

産婦人科医の増﨑先生のお話を最相さんが聞いていく、

というインタビュー形式の本。

めちゃくちゃおもしろかった!! 

この「おもしろかった」は、単純に知的好奇心をじゅうぶんに満足させてもらえる、

というだけではなく、男性・女性の「性」についてや、

ヒトが生殖し命をつないでいくということなどについて、

いままでとはまったく違う角度から、

うーーーむ、と考えられるおもしろさもあるのです。

増﨑先生先生の豊かな経験と見識と、最相さんの見事な質問力と理解力が相まって、

すばらしい一冊になっています。 

出産の経験のあるなし、将来的に子どもを望むか否か、男性・女性、

そんなことはまったく関係なく、だれが読んでも、

オドロキとワクワクを感じられる内容です。

もちろん、ただおもしろいだけではなく、生殖や出産について、

向き合わねばならないことも、キチンと書かれています。 

時代の変化や、医学や科学の発達により、ハッピーな解決を見ることもある、

と同時に、新たな問題や課題も生まれているということですね。 

国や個人によって規範が違うこともあり、

正解のない問題に対峙していかねばなりません。 

コトが「命」だけに、たいへん難しい。 

けれども、だからこそ、ちゃんとみんなで考えなければ、とも思います。

 

妊娠中、胎児を介して、母体に父親のDNAが入ってくる、

というのはビックリだけれど、考えてみたら、なるほど、とも思えます。 

 

以下、先生のお話を抜粋。 

「昔は妊娠中毒症といってた妊娠高血圧症候群って、一人目を妊娠したときに多いんだけど、二人目は軽くなるか消えるんです。でも、夫が変わるとまた発症する。なぜか。一人目で免疫寛容ができても、また別の抗原が入ってくるからと考えると非常にわかりやすいよね。理論的にはこういうことが考えられる。」 


「胎児の細胞がお母さんに入るってことは、幼若な細胞が入るってことですよ。なんにでもなれる幼若な幹細胞が母体に入る。半分はお母さんと同じだから免疫反応が起こりにくい。そうすると母親の損傷部位に集まって修復するんじゃないか。たとえば神経細胞とかね。胎児が母親を治療する。」

こういう発想は、知って初めて生まれ、広がっていきます。 

こんな目から鱗なお話が山ほど出てきます。すごい。 

増﨑先生が、産婦人科医という大変ハードなお仕事をされつつ、

柔らかい感性で疑問やアイデアを見つけ、それを研究につなげていかれたって、

ほんとうに素晴らしいです。 

小児科や産婦人科は特にハードな上に訴訟も多く、なり手が減っていると聞きます。 

だけど、この本を読んだら、

なんて謎に満ちた、しかもとてもおもしろく、将来性のある分野だろうか!

と興味を持って研究したいと思う人が出てくるんじゃないかと思います。

 

個人的に、自分が35年くらい前に患った病が、ああ、そういうことだったのか、

と合点のいくこともあり、ほんとに読んでよかったです。 

読書のヨロコビを満喫できました。 

サイコー!!

 

出版元のミシマ社は、京都の小さな出版社です。
個性的で、実におもしろい本を時間と熱量をかけて出してらして、

応援したくなるのです。