京都 四条高倉の占庭から

不安とともに生きていく、ということー『京大変人講座』より

今日は本格的な雨降り。

こんだけ降ったら出かけるのイヤになるよなあ、とは思うけれど、

予約のお客さまが連絡なく来られないのは困ってしまいます。

ご予約を頂戴していたため、同じ時間を希望された方を二人お断りした後なので、

余計につらい。

予め、時間をかけて命式を作っているので、キャンセルはガックリくるんですよー

ご都合が悪くなって日時を変更していただくのは、全然問題ないので、

ちょこっと連絡してくださったらなあ~ と思ってしまいます。

キャンセルの連絡をしにくい気持ちもわかるんですけどね。

と、愚痴をこぼしまして、すみません。

 

先日『京大変人講座』という本を読んでいました。

目次を紹介しますと、こんな感じ。

1 地球の教室
 毒ガスに満ちた「奇妙な惑星」へようこそ
 ー学校では教えてくれない! 恐怖の「地球46億年史」

2 経営の教室
 なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか
 ー「お客さまは神さま」ではない!

3 法哲学の教室
 人間は”おおざっぱ”がちょうどいい
 ー安心、安全が人類を滅ぼす

4 社会デザインの教室
 なぜ、遠足のおやつは”300円以内”なのか
 ー人は「不便」じゃないと萌えない

5 生物の教室
 ズルい生き物、ヘンな生き物
 ー”単細胞生物”から、進化の極みが見えてくる

6予測の教室
 「ぼちぼち」という最強の生存戦略
 ー未来はわからないけど、なるようになっている

 

ね、おもしろそうでしょ?

酒井 敏, 小木曽 哲, 山内 裕, 那須 耕介, 川上 浩司, 神川 龍馬 の6人の先生が、

1章ずつ書いてらっしゃいます。

京大で、誰でも聴講できる「京大変人講座」(無料)が開かれていると知り、

一度行ってみたいなあと思っていたところに本が出まして、

これを読んで、ますます行ってみたくなりました。

どのお話も、難しい研究を噛み砕いて説明されていて、とてもおもしろかったです。

この先生のお話、もっと聴いてみたいなあ、という方もあれば、

この先生のお話は、ちょっと納得いかないところがあるなあという方もあり。

もちろん難解な部分もあるわけですが、それらを生活レベルで考えればどうなのか、

というところへもってきて語られるので、非常にフレンドリーかつフランクです。

エラそうな先生はひとりもおられません。(ここ重要)

いろいろと腑に落ちるところがあったのですが、一番、心に響いたのはココ。

 

「不安とともに生きていく『耐性』こそがワクワクしながら生きるための秘訣」

 

これは法哲学の章に書かれていました。

「”国や企業に丸投げ思考”は、かえって危ないのでやめておこう」

「法律をバカ正直に守るのが”善”ではない」

「『本当に心配すべきこと』を選ぶ目を持つ」

「私たちが考えるべきは、未来が予測と違う方向へ転がりはじめたとき、起きたことをどう受け止めるかについてです。」

「予測と違う現実になったことへの不安を受け入れた瞬間に、それがおもしろく楽しいものに転じる可能性が生まれてくることを、忘れないでください。」

 

まさに、まさに。おっしゃる通り。

これらのことは、法とか、哲学とかっていうよりも、

現実的な気の持ちようへの指南でもあります。

いいなあ。那須先生、好きになりました。

 

占いでお話を聞いていても、この「不安」とのつき合い方というのは、

生きていく上でとても重要で、それによって生活の質まで変わるほどではないか、

と思うくらいです。

不安におびえ、不安を解消するために人生の大半を費やす人だっておられます。

不安というのは、その人その人の心が生み出すものなので、

他人が解消できるものではないんですよね。

不安を恐れる人ほど、なぜか次から次へと自ら不安を作り出されます。

そして、思い悩み、自分を追い詰め、不安でいっぱいになる自分を持て余す、

というループをぐるぐる延々と続けることになっていきます。

そして、誰かや何かに依存してしまったり、投げやりになってしまったりして、

ますます、つらくしんどい状況へとはまってしまう。

こういう方、どうすればラクになっていけるんだろう、

とずっと考えていましたが、この「耐性」という言葉で腑に落ちました。

人は生きていれば、不安が発生するのは当たり前のこと。

不安をひとつ解消してほっとしても、また次なる不安は必ず生まれるわけで、

要するに、共生していくしかない、ってことなんですね。

誰だって、いつだって、人間は不安を抱えながら生きていかねばしょうがないんだ、

と覚悟を決めれば、案外この「耐性」はできていくのではないでしょうかねー

 

 なんてことをですね、本を読みながら考えていました。

 この本は、まったく知らなかった新しい知識を教えてもらえる面と、

なんとなく感じていたことを理論として明らかにしてもらえる面とがあって、

読書の愉しみを満喫できました。

 

知的な刺激を受けることで、ただいま直ちに考える必要はまったくないものを

つらつらとひとりで考え続けるってことは、非生産の極みみたいなもんですが、

実は非常に豊穣でねぇ、心が満ち足ります。

でも、ほとんどが、ムダな時間であり、無用な思考なんですよ。

ただの自己満足です。

けど、だから贅沢ってことでもあるわけで、読書はやめられません。