京都 四条高倉の占庭から

消えてしまった内田善美さん

どこへも行かないお正月って、いいもんだなあ、と感じている2日です。

朝は7時に起き、洗濯をし、お雑煮とおせちっぽい常備菜などを食べ、

ナウシカ歌舞伎と宝塚スペシャルのテレビ番組を見てたらお昼。

お昼は、冷やご飯をあたため、ありもので済ませます。

ああ、極楽。

そして、卵の賞味期限が近いので、プリンを作って、冷ましているところ。

週に4日しか営業してないくせに、なぜだかいつも慌ただしいわたくしの日常。

そこから乖離した時間って、こんなに簡単に手に入れられるものだったんですねぇ。

わざわざ温泉宿や、避暑地に行かなくても、こんな風にのんびりするほうが、

ずっと骨休めになるんちゃうの?

ということに気づいてしまいました。

 

で、今日のブログも、やっぱり占いとは全然関係のない話です。

 

今朝、「ちくま」1月号を読んでいましたら、恩田陸さんが、

「現代マンガ選集 少女たちの覚醒」というアンソロジーを編まれた、

と書かれていまして。

恩田陸さんとは、年齢も近く、読んでいた少女漫画雑誌が、

「なかよし」「りぼん」「別冊マーガレット」「週刊少女フレンド

週刊マーガレット」「花とゆめ」「LaLa」と、ほぼ同じ。

なつかしー というだけのことが言いたいのではなくてですね、

このアンソロジーを編むに当たり、どうしても入れたかった作品がある、

という話なのですよ。

 

実は、私はこのアンソロジー内田善美の「ひぐらしの森」を入れるのが

一番の目標だった。悲願といってもいい。

 

とあり、おおお、内田善美さん! わたしも大好きですよ。ぜひ、ぜひ! 

とうれしくなって読み進めていましたら、それは叶わなかった、

ということがわかってきました。

内田善美さんは「消えた漫画家」と呼ばれているのだそうです。

誰も連絡先を知らなくて、連絡のつけようがないということは、

著作権者を特定できないために、載せられない、ということなのですよ。

この情報過多の世にあって、そんなことがあるんだ、と驚きました。

また、そんな理由で断念せねばならなかった恩田さんの無念さも

察するに余りあります。

ううう、残念すぎるー

 

ひぐらしの森」と並んで「空の色ににている」も紹介されていました。

そう。この2つの作品は、独特なしんとした深い世界観の、とても素敵な漫画です。

恩田さんにとって「特別な作品である」ように、わたしにとっても、

非常に思い出深いもので、引っ越しの際の書籍類大処分のときにも、

手放すことはありませんでした。

そういう事情であれば、今後も復刊は難しいでしょうから、

大事にとっておいてほんとうによかったと、胸をなで下ろしもしました。

 

しかし、ファンも多かったであろう内田善美さんのその後がわからないとは。

人ひとり、そんなにキレイに消えてしまえるものなんでしょうか。

ご本人が、漫画家をやめられるのは自由だから、残念でも仕方ないですが、

そういう形で、作品までもが、絶版ですらなく「品切れ」状態のままで、

この世界から消えていくのは惜しくてしょうがないですよ。

 

ああ、せつない。