京都 四条高倉の占庭から

『晴れたら空に骨まいて』がとてもよかったです

いつまでも暑い暑いと言うてたら、急に晩秋に突入しました関西です。

みなさまがお住まいのところもきっともう、寒くなっていますよね。

一週間前まで扇風機回してたよね?? からの暖房ですよ。

どうしてこうも「ちょうどよい季節」はスキップされてしまうのでしょうか。

 

今朝は午前中のご予約がなかったので、ちょっとゆっくり目に家を出て、

通勤途中にある期日前投票場で、投票してきました。

これでひと安心。

毎回、選挙が終わって投票率が報道されるたび、その低さに愕然とします。

選挙大事です。

せっかくの権利ですので、有効に行使しましょう~

 

先日読み終えた本がすごくよかったので、ちょっとご紹介しますね。

 

『晴れたら空に骨まいて』川内有緒著

bookclub.kodansha.co.jp

 

大切な人を喪くし、弔う際に、散骨を選んだ人たちから、

川内有緒さんがお話を聴いて書かれたものです。

見送った方々が、みなさんとても個性的で、明るくカラリとしてらして、

素晴らしいのです。

さすがというか、あっぱれというか、

「骨をまく」に足る人物でありました。

 

亡くなった方々は、みんな「ふつう」ではなく、規格外の人ばかり。

周りの人はちょっと大変だったろうなあ、という人も多いです。

けれども、送った側の方々は全然特別な人ではなく、ただまっすぐに、

できることを精一杯しながら生きている人なんですね。

実に清々しく、潔く、自然です。

とんでもないハプニングもアクシデントも湿っぽくならず、

淡々とユーモラスに語られます。

みなさん、とにかく人間としての器量が特大で、圧倒されます。

めちゃくちゃ素敵。

 

散骨は「弔い」のひとつの形なのですが、この本を読んでいて感じ、考えたのは、

死に方ではなく、生き方です。

こんなふうに生きたから、このような見送りに至り、散骨を選ばれたのだ、

ということが、実に納得できるのです。

 

自分の人生を精一杯生き切った人もすごければ、

それを見守り、並走し、見送った人もとてもえらい。

ああ、こんな風に愛し、生きられれば最高じゃないか!

と思えます。

 

弔いは、残された者が選ぶ「儀式」でもありますよね。

それは残された者への癒しや締めくくりのためだけのものではなく、

命を閉じた人の人生を映し出すものでもあるのだなあ、と思いました。

 

登場する人のほとんどは無名の人たちです。

何かを成し遂げた特別な人ではなくても、素晴らしい人はどこにでもいる。

世界中、そこかしこにいるのだ、と思えてうれしくなります。

 

生きることも、死ぬことも、見送ることも、

そこには愛があり、苦悩も葛藤もあります。

家族であっても、理解できないところだってあるし、

もっと知りたかったと思うこともあるのです。

 

いや~ ほんとうによい作品でした。

読み終えた後の爽快感をぜひ味わっていただきたいです。

文庫版の方には単行本にはなかった川内さんご自身の章が加えられてるので、

もし、お読みになるのでしたら文庫版がおすすめです。