京都 四条高倉の占庭から

ばけばけのオープニング

いつの間にかセミの声が聞こえなくなり、緑色のカメムシをたくさん見るようになりました。

日中はまだまだ暑いですが、空はすっかり秋の顔をしています。

急に涼しくなったことで、体調が不安定になり、しばらく食欲も湧かず、どうも具合がよくない毎日でしたが、やっと心身が秋になじんできたような気がします。

ケーキやラーメンなんか、もう永遠に食べたいと思えないかも、、、、と思ってましたが、なんのなんの。あとひと息のところまでたどり着いた感じ。

ここまでくればしめしめです。

 

新しい朝ドラも始まりました。

わたしはたいがい録画しているのを見るので、オープニングはスキップするのが常なんですけど、今回は、毎日主題歌を聴き、写真が切り替わっていく映像を見ています。

そして、毎日、ジーーーンとして、キューーンとなるのです。

ハンバートハンバートの楽曲がいいのは以前からわかっていたのですが、小島小鳥さんの写真と合わさることで、音楽も映像も、どちらももっともっと魅力を増すんですよねぇ。

しかし、どうしてここまで、毎日心を揺さぶられるんでしょうかね。

ハンバートハンバートは、京都の古いライブハウス磔磔であったライブに一度行きました。

楽曲のイメージから、ふんわりしたライブを想像していたのですが、そんな甘いムードのバンドではなかったんですよ。

MCは割と私生活そのままのようなグダグダした話が多くて、とっても楽しいのですが、曲が始まるとスイッチが切り替わるように、音楽の人になります。

音楽の人ってわかりにくいですよね。

なんというか、心から音楽が好きで、自分たちの音楽を追い求めている人、という感じかな。

夫婦だとかそういうのは全然関係なく、音楽のもとでは対等で、尊重し合っていて、真剣勝負をしているように見えました。全然甘くない。

わたしのような「聴く専門」の門外漢であっても、おふたりの音楽性の高さに圧倒されるような心地になりました。

音楽を創っていくのは苦しさもあるけれど、音楽を演っていくことは無上のよろこびだと身体中から湧き出してくるようなたたずまいにすっかり魅了されたのでした。

きっとこの主題歌は半年、毎日聴いても飽きたりしないだろうなと思います。

 

そしてこのオープニングのもうひとつの素晴らしさは写真。

夫婦になる髙石あかりさんとトミー・バストウさんの笑顔がすごくいいです。

 ああ、ひとの笑顔って、こんなに癒されるものだったんだなあ

としみじみ思います。

 ふたりがしあわせでありますように、ずっとこのままのふたりでいられますように

と、まだ夫婦の物語は始まっていないのに、祈るような気持ちになるんですよねぇ。

すばらしいオープニングです。

笑顔ってほんとにいいものだと改めて教えられた気がします。

わたしもできるだけ笑って笑って生きていきたいなあ。どんなときも。

と考えたところで、そういえば、こういう話を最近読んだ。

と思い出したのが夏川草介さんの『スピノザの診察室』でした。

この本のなかで、主人公の男性医師がこう言います。

若くして難病をわずらった女性がいてね。幼い子供を残して数年で亡くなったんだが、最後まで笑顔をなくさなかった。夫を早くに交通事故で亡くして、今度は自分が難病だ。どう考えても悲惨な人生に見えるのに、記憶をたぐると思い出は笑顔ばかりなんだ

彼女自身、辛くなかったはずはないけれど、残された時間を、少しでも楽しい思い出にしたいと思ったのかもしれない。実際その思い出に私はとても救われている。つまり彼女は、絶望の淵に立ちながら、魔法のように幸せな時間を作り出してくれたわけだ

この女性は主人公の妹で、その妹さんが残した男の子といまは一緒に暮らしています。

「できるなら、私もそんな人間でありたいと思うんだよ」と言う彼に、読みながら寄り添う気持ちになっていくのです。

ドラマのオープニング映像の笑顔を見ているだけで人は癒されるんだもの、笑顔はすばらしい力を持っているよなあ、ホント。と思わずにいられません。

 

さて、こちらは、先月のスウィングマーケットのとき、テーブルに置いてくださっていたもの。

秋らしくて愛らしいですよね。

余談ですが、このカフェの壁はレンガのような形の木材でできてるんですよ。

そして、とっても大きくて重いテーブルとベンチ型の椅子は、人間国宝の方が作られたものなのだそうです。

重厚だとは思ってましたけど、そんなに価値のあるものだったとは、、、、びっくり。