京都 四条高倉の占庭から

満員劇場御礼座『これ言っていいのかな』

今日は推しの話をさせてください。

昨日、3年振りとなる満員劇場御礼座(以後、満劇としますね)の公演を

道頓堀ZAZAまで観に行ってきました。

公演のフライヤーにも

「同じ場所で同じ空気を味わえる喜びに勝るものはない、ライブの方がらいぶいい」

と書いてあったように(ダジャレはさておき)ほんとうにそれ。満喫してきました。

もうかなり長く追っかけている満員劇場御礼座という劇団は、

仕事をしながら演劇活動をされている人たちで構成されています。

(もう定年退職された方もおられるかもですが)

いわゆる商業演劇ではないのですが、アマチュアかというとそんなことないやろ~

という感じの劇団です。

 

今回は『これ言っていいのかな』というタイトルで、

22(木)~25(日)の4日間6公演行われます。

(ホントのアマチュアだったらこんなにできませんよね)

内容は5つのオムニバス。

 

①「マスクの同窓会」

 40年振りに中学の同窓会に参加した女性。

 記憶もおぼろげな上に、出席者は全員マスク。

 彼女はなぜ今回、同窓会に出席することにしたのか?

 親し気に話しかけてきた男性はだれ?

コロナ禍でリモートワークも増え、人との関わりが希薄になった昨今。

「悪いことばかりじゃなかったよね」と言われても、

やっぱり悪いことが大半だったよ、と思ってしまいました。

元気で軽くてダジャレ好きな先生役のライス大さん。

即興ダジャレコーナーを苦しみながらクリア。ご陽気な役がピッタリです。

ああ、こんな幹事いるいる、という見るからに面倒見がよさそうながらテキトーな

藤白アル子さん。

離婚したての本のデザイナー役の緑ファンタさんの繊細さ。

ファンタさんがマスクをズラしてお寿司を食べるたびに、

ドキリとしてしまいました。

なんだか見てはいけないものを盗み見たような気になって。

それほど仲よくない友だちってこんな感じよな? と思わせる楠葉プリンさん。

チャラチャラした調子のいい胡散臭い役をやらせたら天下一品の

淀川フーヨーハイさん。

今回も両手のひじから先を左右にブランブランさせながら本領発揮でした。

(そんなことしながらしゃべるヤツおらんやろ)

でもって、そうきたか、、、、というラスト。さすがー

 

②「アンガーマネジメント講座」

 せっかく夫がプリンを買ってきてくれたのに無言の妻。

 やさしく話しかける夫にも無表情。

 オンラインのアンガーマネジメントの講座を受けてみないか?

 という夫の提案にキレそうになる妻の怒りの原因は?

こちらは夫婦あるある。

お互いの価値観のすれ違いというのは、そんなに大したことないことがキッカケで

顕在化するというか、モメる原因になるということ。

なんでこんなに機嫌悪くて、態度悪いんやろ? と思った妻が、

夫よりも一枚も二枚も上手だったわけですね。

北白川玉子さん、あべの金欠さん、どちらもほんとにいそうな感じで、さすがー

一緒に観ていた夫が、後から「身につまされた・・・・」と肩を落としていました。

 

③「これ言っていいのかな」

 小さく、そして取り返しのつかないことを重ねて人生は続く。

 肉体と愛をめぐる、二人の女による極私的告白。

とフライヤーにはありました。

ふたりの女性が、ひとりずつ違う芝居をはさんで独白します。

一人目の天王寺春雨さんは、セリフが飛んじゃったのかな。

見ていてドキドキしましたが、立て直してちゃんと演り切られました。

観客より関係者のほうがドキドキしてはったかも。

二人目の舞子わかめさんの独白は、ミステリー風味と見せかけて、

え、そんなリリカルなお話やったの、、、、と裏切られる。さすがー

 

④「ルール」

 満劇では珍しいヅラまで着けての時代劇。

 江戸時代。奸臣を討たんと謀る4人の藩士

 さまざまなルールに縛られている彼らの話し合いは混迷を極める。

「意味不明の世界に満劇が問う、謎の不条理時代劇」とありましたが、

まこと意味不明で不条理。

それがなんでこんなにおかしいんやろー と思いながら大爆笑しました。

ドタバタでありながら、コントではなく、芝居なんですよねぇ。

桂雲吞さんの芝居は毎回間違いなく上手いし、にこたまBBQさんも存在感ありあり。

初めましての中ノ島スパイスさんが滑舌もよく、あのややこしい芝居のなかで

さわやかさを体現されていました。

客演の高瀬和彦さんは、期待を裏切らず、いや期待以上の変態性を発揮され、

さすがー

高瀬さんサイコー

また次回も出てください!!

 

⑤「おとうさん、話があります」

 「お義父さんに、小学生の見守りボランティアをやめるように言ってほしい」

 と切り出した妻。息子の同級生の女児の母親からクレームがあったのだ。

 困惑する夫。

 そこへ義父が帰ってくる。

こ、これはちょっと笑えない話なのではないか、、、

とテンション下がりそうになる題材を敢えて選んだところがすごい。

朝潮でんぷんさん演じる義父が、ものすごく真っ当で、人格者である、

という説得力がすごいため、そうか、そうだったのか、それならばしょうがない、

たしかにそうだよな、と思わされる。

こういう好人物に見えてヤバい人なんちゃうか? 

という芝居がとっても上手なんですよねぇ。

戸惑う息子であり夫役の高槻アジ郎さんは、困った顔がとても似合う。

義父に疑惑の目を向けていた妻役の心斎橋ラムネさんのまんまと説得される様が

キュート。

こんなディープなモンダイが勃発したのに、一見家庭円満の決着へ持っていく

ブラックな脚本。

さすがー

 

という2時間弱でした。

すごーくおもしろくて、ちょっと考えさせられて、しんみりもするけど、

ポジティブで、いろいろあるけど、笑っていこや! と思えます。

ああ、たのしかった。芝居はライブに限りますね。

しばらく「しかし!」と聞くと問答無用で大笑いしたくなりそうです。

 

まだ明日まで公演はあるので、興味のある方はぜひ! オススメです。