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京都 四条高倉の占庭から

なつかしのHさん

わたしは転職の女王というか、転職を余儀なくされる女王というべきか、

とにかく、たくさんの職場を転々としてきました。

自分を占ってみても、やっぱりそういう星ではあるんです。

職が定まらないとか、住居が定まらないとか。

当たるんやなあ、そういうことって・・・・

なんて、シロウトさんのような感想が漏れてしまうほど、定まらなかったワタクシ。

占庭はもうすぐ丸5年になりますが、これもいつまで続けていけるやら、

まったく自信がありません。

けどまあ、占い師は天職なんじゃないか、と思っているので、

天職で、転職人生にピリオドを打つ、っていうのはどないでしょう?へへへ。

 

昔、いろんな職場で働いていて、いろんな銀行の外交さんとご縁がありました。

銀行員というと、どうしてもお堅いイメージなわけですが、そんな中、

超柔らかい、ユニークな外交さんもおられましてね。いまだに忘れられません。

その方、Hさんは、高校時代のバカ話だけでも、山のようにあるという、

おもしろ話の宝庫のような男性でした。

ご陽気で、いたずら好きで、聴いた話はどれもアホみたいな話ばっかりなんですが、

それをいっぱい覚えているのは、それだけおもしろかったってことですね。

 

では、野球部だったHさんの逸話をひとつ紹介しましょう。

 

 Hさんが高校生のときのこと。

 クラスにいつも学年でトップの成績のかわいくない少年がいて、

 どうにかして、彼をトップの座から転落させてやろうじゃないか、

 というミッションが密かに行われた。 

 野球部のHさんは毎日、朝練でランニングをする。 

 その学校の外を走るランニングコースの途中には、

 廃品回収業者が、古紙を野積みにしている場所があり、

 そのトレーニングには、そこでエロ本取り放題という付加価値があったのだった。 

 で、彼はそこで調達してきたエロ本を

 そっとその学年一の秀才少年のカバンに忍ばせる作戦に出た。 

 初めてカバンに入っているエロ本を見つけた彼は、ぎょっとし、

 素早くあたりを見回したらしい。

 しかし、事情を知る数人はすべて、ミッションのために真剣に知らぬ顔を演じる。 

 ワケがわからないまま、彼は再び自分のカバンの中になぜか入っている、

 あるまじきブツにしばし見入り、そっとカバンを閉じた。 

 かの秀才少年は、なすすべもなく、エロ本をそのまま持ち帰るしか

 なかったのである。 

 かようなことは、もちろん誰にも相談できない事態である。 

 そして、その日から毎日、一冊ずつ、エロ本はカバンに入れられ続けた。 

 慣れというのは恐ろしいもので、かの秀才少年も次第にその異常事態を受け入れ、

 もはや楽しみにすらしている様子になっていったという。 

 そして迎えた次の定期考査。 

 彼の成績は誰の予想をも超えて、激落ちした。 

 かくして、ミッションは大成功裏に終了したのだった。

 ミッション終了と共に、日替わりエロ本の配達はなくなった。

 それからしばらく、かの秀才少年はとても残念そうであったということだ。

 

こんなマンガみたいなこと、ほんとにやる高校生がいたんですねぇ。

アホやなあ。

けど、そこにいたら、めっちゃおもしろかったやろなあ、って思いますよね。

こんなHさんですが、アホ話をしながら、結構キッチリ営業していくので、

バンカーとしては優秀だったようです。

 

外交さんに限らず、営業さんというのは、最終的には人柄ですよね。

信用できる人柄だとわかれば、顧客は心を許します。

そうなれば、少々頼りないなんてのは、却ってかわいがられるくらいでね。

けど、信頼されるようになるためには、誠意を尽くさなければなりません。

誠意も心に持っているだけでは伝わりません。

顧客に心を置いて動く。骨惜しみしない。

ってことが第一歩なんじゃないかと思います。

 

Hさんも今頃はもう中堅バンカー。

相変わらず、ひゃっひゃっひゃと笑いながら、結構出世してはるかもなあ。