京都 四条高倉の占庭から

ポジティブでなくてもいいんです

先日も、若いお嬢さんのお客さまに、

「百点満点で自分で自分に点数をつけたら何点?」と訊ねていましたら、

30点とか、43点とか、おっしゃるんです。

それじゃあ単位もらえないよね、っていう点数なんですが、

わたしなどから見ましたら、その容貌だけでも80点は堅い!

と思うくらいの、かわいらしいお嬢さんたちなんですよ。

ま、若い時というのは、自分を認めたい気持ちと、認められない気持ちが、

せめぎ合っていたりもするのでしょう。

うん。その気持ちはわかります。

とても想像できないでしょうけけれど、わたしも昔は若いお嬢さんやったのでね。

「謙虚」と「低すぎる自己評価」は、まったく違うものだということを

彼女たちは、ピンときてらっしゃらないのかもしれません。

 

で、とても点数の低い方にいつもお訊ねするのが、

「マイナス点数分はどういうところ?」ということです。

答えの中でダントツで多いのは、

「がんばっていないから」ですね。

あとは、ご自分で短所だと思われている性格的なことをおっしゃる方が多いです。

そこで多いのが「マイナス思考」「ポジティブになれない」「暗い」とか。

 

たしかに、マイナス思考よりかはプラス思考の方が陽気な感じで、

ものごとを良い方向へ引っ張っていけそうな気がしますよね。

そりゃあ印象としては、マイナスよりかはプラスの方が、イイ感じなのは確か。

けれども、世の中の人が、みんなポジティブ全開で、ご陽気だったら、

もう、うるさくってしょうがないんじゃないかと思うんですよ。

誰もが前を向いて、リスクに怯えることなく、チャレンジに次ぐチャレンジ。

いや~、想像するだけで、騒がしそうで落ち着きません。

みんながみんなそんな人たちの社会が最高だとは、とても思えません。

 

それに、誰にだって、マイナス思考に陥るときはあるし、

のべつポジティブでいられるはずもありません。

そこをダメだダメだと自分を責めるのは、ちょっと違うと思うんですね。

程度問題ですよ。

 

世の中は、いろんな考えの人、いろんな性格の人がいて、成り立っているんです。

「これがいいから!」っていう方向へ、みんなが向いてしまうのは、

怖いことでもあります。

マイナス思考がダメとか、ネガティブな思いは悪とか、

あんまり思い込まない方がいいと思うんですよねぇ。

 

ただ、そういう自分がイヤだ、と思うのであれば、

できることから変えていく努力をするのは大事。

けれどそこで大切になってくるのは、

世間の常識とか、他人からの評価で変えるのではなく、

自分で考えた「こういう人になりたい」という思いを持って変えるということ。

誰かに、または、多くの人に好かれるために変えたところで、

その価値観は、また誰かに揺るがされることになりかねません。

「好かれるため」は「評価されるため」ということでもありますが、

世間や誰かではなく、自分で自分を正当に評価することの方が、

ずうっと大切なんですよ。

 

ですので、マイナス思考だからとか、ポジティブになれない、

というだけで、わたしってダメ!と自己評価を落とすのはナンセンス。

本当にそこがウィークポイントなのかしら?と、もう一度考えてみてください。

その上で、やっぱりここは減点箇所だ、と思われるなら、変えればよいのです。

明確な意志があれば変えることはできますよ。

 

一般的に好まれる思考様式とか人間像って、時代の流行もあるんですよね。

いちいちそれに振り回されてたら、なかなか自分の価値観が定まりません。

誰かの価値観で、自分の評価を落とすのではなく、

自分の考えで正当にご自身を評価して、点数を上げていってくださいますように。

よりよい自分を想像する思考力、柔軟な可変性があれば、

自然に魅力ある人になっていけるんじゃないかと思います。