京都 四条高倉の占庭から

答えはひとのなかにあるから

先日、バスに乗っていましたら、Amazonの物流倉庫のそばを通りました。

道が渋滞していたので、Amazonロゴマークをしげしげと見ていて発見したんですよ。

 このロゴマーク、いいデザインだよなあ

 すんごい有名な人がデザインしはったんやろな

 特に下の部分の、矢印が伸びてZに刺さって、ちょっとだけグニュっとなってるあたりの芸が細かいというか

 

なんて考えていたところ、ん? と思ったんですね。

下の矢印は、AからZへとつながってるんですよ。

これって、アルファベットのAからZってことで、何から何までありまっせ、っていう意味なのかなあ、と。

でもって、これはみんな知ってることで、わたしだけ知らなかったのかな、とも思って夫に訊いてみたら、やっぱり「みんな知ってるけど、自分たちだけが知らないのかも」と言っていて、全然参考になりませんでした。ははは。

 

ほんとうはここにAmazonロゴマークの画像を貼り付けたいところですが、著作権とかに引っかかったりするかもと思ってやめときました。

興味を持たれた方は、ちょこっとググってみてください。

 

いま伊藤比呂美さんの『女の絶望』という身も蓋もないタイトルのエッセイを読んでいます。

帯にはこうありました。

生まれてこのかた女です。

苦労しどおしの人生ですが

おばさんになったら楽になりました。

文学と実用書のハイブリッド本

この本は、女の悩みを吸い取ります

 セックスについて

 子離れについて

 不倫について

 閉経について

 更年期について

 中年危機について

 嫉妬について

 離婚について

 老いについて

 親の介護について

 女の絶望について 

江戸弁の語りにのせて

伊藤比呂美が語りたおす

女の生きざま!

 

ね、おもしろそうでしょ?

この中に、伊藤比呂美さんが全国あちこちに講演に行かれたときのことが書いてありました。

講演が終わったら、自著にサインして販売もしていると。

本を買ってもらえたらうれしいし、「身の上相談いつも楽しみに読んでいますよ」って言われるのもうれしい。

やっぱりこれは人間の基本で、人にほめられると、ああ、あたしはここに生きてるんだなって安心する。

のだそうです。

 

けれども、そのためだけではない、とおっしゃいます。

講演が終わり、誰もいなくなるまで、会場のどこかでじっと待っている人がどこにもおられるのだそうです。

その人は、伊藤比呂美さんと言葉を交わしたくて、話したいことがあって、待ってらっしゃる。

その話は、つらいことの場合もあれば、人には言えないけれどとてもしあわせなこと、という場合もある。

待ってて、あたしに話しかけてくる、自分の抱えた、どうしようもない悩みを。人前じゃ話せないが二人ッきりになりゃ話せるッていう悩みを。あたしなんかに話したってその場限りで、何になるのかなといつも思うんだけど、それでも話しかけてくるから聞かなくちゃならない。

いつもいつもそうだったから、あたしが呼ばれて話しに行くのはきっとこういう人のためなんだろうと思って待ってることにした。ただ待つのも手持ち無沙汰だから本を売ることにした。

というのが、伊藤比呂美さんらしくていいなと思いました。

 

同時に、ああ、すごくそれわかるなあ~ って思ったんですよ。

わたしもね、占いをしたり、タロット占いのレッスンをしたりしているわけですが、これ、お金のためだけにやってるんじゃないんです。

もちろん、見料やレッスン料頂戴してますし、仕事です。

だけど、仕事なんてのはいろいろあって、わたしにでもできる仕事はほかにもあります。

もっと実入りのよい仕事もいっぱいある。

だけど、この仕事を選んでいるのは、ほかの誰でもない、わたしだからできる仕事が、「占い師」という職業にあるような気がするからなんですね。

 

毎日、あ、この方のこのお話を聴くために、わたしは今日、占庭まで来たんだなー と思うことがちゃんとあるのです。

それはその方とのご縁であり、お互いにとって必要であり、必然だったのかな、とすら思えます。

占い師はいい仕事です、といつもここでも書いてきましたが、本を読んでいて、これか! と腑に落ちました。

やっぱりいちばん大事に思っていることは「聴くこと」のなかにあるんだなあ、と。

 

伊藤比呂美さんの文章を読むと、元気が出てきます。

ぐずぐず考えてもしょうがない。ただ生きろ、と励まされるようで。