京都 四条高倉の占庭から

アートの値段

立春を過ぎて、また寒波がやってきています。寒いですねー

乾燥してますし、花粉も飛び始めて、ノドやら鼻やらがややこしい。

オミクロンも猛威をふるっていまして、街ゆく人もドッと減りました。

いま人が多いところって、チョコレート売り場くらいでしょうか。

試食しながらグルグル回って品定めができた3年前が、もはや遠い昔のようです。

 

占庭も2月に入って、スコーンと時間が空いてきました。

占いでは節分・立春で年度替わりになりますので、

それにまつわる作業や整理をのんびりやっています。

いろいろ片付いていくのは気持ちがいいです。

 

いま、お隣の百貨店で、現代アートの展示・販売をされていましてね、

大好きな奈良美智さんの作品もあるようなので、観に行ってきました。

表に榎俊幸さんの大きな絵が展示されていて、ぐいと引き込まれました。

古典と幻想が混じり合い、ポップに感じられるところもあって、

もっとたくさんの作品を観てみたいなあと思いました。

 

お目当ての奈良さんの作品は、初めて観るものもあり、興味深かったです。

奈良美智さんの作品は1990年代から追いかけているのですが、

一度もガッカリしたことがありません。

作風を変化させながらもずっとずっと魅力を失わず、

毎回、新たな”奈良美智”を見せてくれ、

同時代に生き、現在進行形の作品を観ていけるって、なんてラッキー!

と思わせてくれる存在です。

 

ところがですね、今回の展示は販売も兼ねているので、値段がついていまして。

その値段を見て、はぁ~~~~~っ! とため息が洩れました。

長年の大ファンですからね、高価であるということは知っていました。

所有するなんて夢のまた夢ということもよくよくわかっていましたよ。

それでもねぇ、こんなにどんどん高くなっていってるとは。

海外での評価が高く、美術的価値が上がっていくのはとてもうれしいんですけど、

それを金額で表されるのを見てしまうと、それは商業価値のように思えてしまって、

なんかフクザツな気持ちになってしまうのです。

作家が値付けしてるわけではないし、市場価値に見合ったものなんでしょうけど、

不動産か! と思うほどの価格を見てしまうと、

そら投資として買う人もあるわなあ、と思いました。

作品よりも先に値札を見る人だってたくさんいますでしょうし、

そしてその値段=作家の値打ちという見方をする人もあると思います。

それは、ほんとうに美術としての価値を認めて買い求めたい、

というのとは違うわけで、作家さん自身としてもフクザツなんじゃないだろうか、と。

 

美術家が認められ、作品を発表でき、多くの人に観てもらえるようになる、

そして、買い求める人がいて、またそれで新たな作品を生み出せる、

というのは、理想ですが、あまりにも有名になり、高価になっていくことは、

美術家にとっては、ただしあわせなだけではないのかも。

なんてちょっとやるせない気持ちになりながら、会場を後にしました。

 

うん、わたしは印刷のポスターや、展覧会やN'sYARDのグッズで十分満足。

それでいい。

そうして奈良さんの作品の身近にいて、展覧会でホンモノに触れに行けばいいや。

とにかく奈良さんには元気でいてもらってですね、

また新しいワクワクする作品を世に出していってほしい。

願いはそれだけです。